PVC resin
塩ビ樹脂とは
ポリ塩化ビニル樹脂(以下、塩ビ樹脂)は汎用的なプラスチックの一つであり、以下の特徴があります。
- 難燃性、耐久性、耐薬品性、耐候性に優れる
- 可塑剤で塩ビ樹脂の硬さを調整できるため、製品用途の幅が広い
可塑剤:塩ビ樹脂に柔軟性を付与することができる液体 - 可塑剤以外にも種々の添加剤を混入する事ができるため、製品に様々な機能性の付与が可能
(耐候性、抗ウイルス性 etc) - 塩ビ樹脂は石油由来40%、食塩由来が60%で構成されており、他の石油由来の一般的なプラスチックと比較して「省資源型」である

ポリ塩化ビニル
PVC resin
stabilizer
塩ビ樹脂用安定剤
塩ビ樹脂は熱や光によって塩化水素が発生し、樹脂が劣化します。
これを防ぐために安定剤が必要になります。安定剤に含まれる金属石鹸は塩化水素を捕捉し、樹脂の劣化、着色を防ぎます。金属石鹸の他に滑剤、加工助剤を添加することで優れた加工性を与えます。
塩ビ樹脂用安定剤
- 金属石鹸
- 酸化防止剤
- 滑剤
- 加工助剤
- その他助剤
塩ビ樹脂用安定剤は金属石鹸や酸化防止剤などから構成されています
PVC stabilization mechanism
安定剤の塩ビ安定化機構
カルシウム亜鉛・バリウム亜鉛の複合タイプの場合
- 塩ビ樹脂からHClが発生
- Zn系金属石鹸がHClを捕捉
- 塩化亜鉛が生成
- Ca系/Ba系金属石鹸が塩化亜鉛と反応し、無害化する

Metal soap
金属石鹸
金属石鹸について
金属石鹸とは脂肪酸の金属塩の総称です。

金属石鹸に使用される主な金属
カルシウム、バリウム、亜鉛、錫、マグネシウム など
金属石鹸に使用される主な脂肪酸
ステアリン酸、オレイン酸、オクチル酸、リシノール酸 など
金属石鹸の特性
- 撥水性
- 潤滑性、離形性
- 界面滑性
- ゲル化性
- 塩ビ樹脂の劣化防止性
代表的な金属石鹸
ステアリン酸カルシウム
ステアリン酸カルシウムは固体状であり、プラスチックの安定剤や滑剤として広く使用されている。また無毒であることから食品容器や医薬・化粧品などへの使用も認められている。
ステアリン酸亜鉛
ステアリン酸亜鉛はプラスチックは固体状であり、の安定剤や滑剤として広く使用されている。また金属石鹸の中でも特に離形性に優れており、プラスチック産業やゴム産業で幅広く使用されている。
オクチル酸亜鉛
オクチル酸亜鉛は液状であり、有機溶剤に対する溶解性が良く、塗料の分散剤や塩ビ樹脂の安定剤として使用されている。
Classification
Features
分類と特徴
塩ビ樹脂用安定剤の分類と特徴
一般的に、構成する金属石鹸の種類が安定剤の名称になる。

バリウム-亜鉛系安定剤
(BZ系安定剤)

カルシウム-亜鉛系安定剤
(CZ系安定剤)
その他
有機錫金属石鹸を含む安定剤
→有機錫系安定剤
鉛金属石鹸を含む安定剤
鉛系安定剤
etc
※図は液状タイプだが粉末状タイプもある